時給1,200円のアルバイトを月20時間で、約2万4,000円。副業としてはまっとうな数字です。ただし来月も同じ金額を得るには、また20時間を差し出す必要があります。
自動化を使った副業の面白さは、ここが変わることにあります。言ってしまえば自動販売機。設置に手間はかかるけれど、置いたあとは自分が寝ている間も動いてくれる。この記事では、Make.comを副業にどう使えるのかを、稼ぎ方の型と現実的な難易度で整理します。
先に判断軸:「自分の作業を減らす」か「人の作業を代行する」か
Make.comを副業に絡める道は、大きく2方向に分かれます。ここを最初に決めないと、遠回りになります。
- 内向き(自分の作業を減らす):すでにやっている副業の手作業を自動化して、時間あたりの収益を上げる。難易度は低い
- 外向き(人の作業を代行する):自動化の構築そのものを商品として売る。単価は高いが、営業とヒアリングの力が要る
初心者が最初にやるべきは、まちがいなく内向きです。自分の作業で練習して、その過程がそのまま実績とポートフォリオになるから。外向きは、その先の話として考えるのが順序として自然だと思います。
そもそもMake.comが副業向きな理由
Make.comは、複数のサービスをつないで処理を自動化するノーコードツールです。副業と相性がいい理由は3つあります。
- 無料で始められる:無料プランで月1,000クレジット。1日1回動かす程度のシナリオなら、当面はタダで運用できます
- プログラミング不要:画面上でモジュールを線でつなぐだけ。ITエンジニアでなくても組めます
- AIとつながる:ChatGPTやClaudeを処理の途中に挟めるので、「文章を書く」「分類する」といった仕事も自動化できます
有料に上げても、Coreプランで月10ドル前後。副業の設備投資としては、案外軽い部類です。
型1:自分の副業の作業を減らす(難易度★☆☆)
いちばん現実的で、最初にやるべき型。すでにやっている副業の中の「毎回同じことを繰り返している部分」を自動化します。
具体的なアイデア
- ブログ運営:キーワードリストからAIに下書きを生成させ、WordPressに自動投稿。更新したらXに告知
- 物販・せどり:複数サイトの価格を定期取得してスプレッドシートに記録。狙いの価格を下回ったらLINEに通知
- ハンドメイド販売:注文が入ったら発送リストに自動追加、購入者へのお礼メールを自動送信
- ライター業:受注案件をスプレッドシートで管理し、納期3日前に自動リマインド
私自身、このブログの記事生成をMake.comで組んで運用していました。キーワードを渡すとAIが下書きを書き、WordPressに届く。朝それを仕上げて公開する、という流れです。1記事を手で書けば数時間かかるところが、仕上げの数十分で済む。収益が増えるというより、同じ時間で扱える量が増えるのがこの型の効き方です。
厳しいところ
直接お金が増えるわけではない、という点です。時間が浮くだけなので、その浮いた時間を次の何かに使わないと、収益は1円も変わりません。「自動化した」で満足して終わる人は、案外多いと思います。
型2:自動化の構築を代行する(難易度★★★)
Makeでシナリオを組むこと自体を、サービスとして売る型です。クラウドソーシングでは業務自動化やAI活用の案件カテゴリが伸びていると言われており、選択肢としては現実味があります。
具体的なアイデア
- 問い合わせフォームの回答を、Slackとスプレッドシートに自動振り分け
- ECの注文データを会計ソフトに自動連携
- SNS投稿の予約・定期投稿の仕組み構築
- AIを使った問い合わせの一次分類・下書き返信
- 構築後の保守を月額で請ける
単発の構築より、月額の保守で継続収入にするほうが副業としては安定します。自動化は組んで終わりではなく、連携先の仕様変更やエラーで手当てが必要になるので、保守のニーズは自然に発生します。
厳しいところ
正直、ハードルは高いです。まず技術より営業とヒアリングが求められます。「何を自動化したいか」を言語化できていないクライアントから要件を引き出す仕事なので、Makeが使えるだけでは足りません。
加えてクラウドソーシング経由だと、手数料が発生します。実績が浅いうちは報酬の2割前後が引かれる仕組みが一般的で、1万円の案件なら手取り8,000円ほど。累計実績が増えると料率が下がる制度もあるようですが、最初は「手取りベースで考える」のが鉄則です。ここを見落とすと、想定と実入りがずれます。
型3:自動化でコンテンツ資産を作る(難易度★★☆)
自動化そのものを売るのではなく、自動化で生み出したコンテンツで稼ぐ型。ブログ、ニュースレター、SNSアカウントなどが該当します。
具体的なアイデア
- 特定ジャンルの情報を自動収集し、AIで要約してニュースレターとして配信
- RSSから業界ニュースを拾い、コメント付きでSNSに定期投稿
- ブログ記事の下書き生成を自動化し、更新頻度を上げる
収益源は広告やアフィリエイト、あるいは有料購読。積み上がれば、寝ている間も動く資産になります。私がやっているのもこの型です。
厳しいところ
時間がかかります。ブログもニュースレターも、最初の半年はほぼ成果ゼロが普通です。それと、自動生成した文章をそのまま出すと品質が伴わず、検索でも読者にも評価されません。自動化するのは下書きまで、仕上げは人間。ここを飛ばした量産は、労力の割に何も残らないというのが率直なところです。
始める順番:最初の1本は「通知」から
いきなり型2の受注を目指すのではなく、この順番が遠回りに見えて速いはずです。
- 無料プランに登録し、通知系のシナリオを1本作る(例:特定のメールが来たらLINEに通知。モジュール2つ、30分で完成)
- 自分の副業の作業を1つ自動化する(型1。ここで実務レベルの構築を経験する)
- 作ったシナリオを記事やSNSで公開する(そのままポートフォリオになる)
- それを見た人から相談が来たら、型2を検討する
3番目が地味に重要です。自動化の受注は「自動化できます」と言うより「これを作りました」と見せるほうが早い。作った過程を発信しておくと、営業活動を兼ねられます。
コストと収支の現実
Make.comのコストは、無料プランなら0円。有料でもCoreで月10ドル前後です。AIを使う場合はAPI料金が別途かかりますが、記事1本あたり数円〜十数円のオーダー。
つまり、月1,000〜2,000円の固定費で始められる副業ということになります。在庫も仕入れもないので、失敗しても失うのは時間だけ。この損失の小ささは、副業として素直に良い性質だと思います。
よくある質問
プログラミングができなくても本当に大丈夫ですか?
基本の構築は大丈夫です。ただし「手順を論理的に分解する力」は必要になります。「どうなったら、何をするか」を順番に書き出せるかどうか。コードは書けなくても、この整理ができる人は向いています。
どのくらいで稼げるようになりますか?
型によって全然違うとしか言えません。型2(代行)なら早ければ数ヶ月で初案件もありえますが、営業次第。型3(資産)は半年〜1年単位の話です。少なくとも「今月始めて来月から月5万」という性質のものではない、というのは正直に書いておきます。
会社にバレませんか?
住民税の徴収方法を「普通徴収」にしておくのが基本的な対策です。ただし就業規則で副業が禁止されている場合はそもそも別問題なので、まず自社の規定を確認してください。
Zapierやn8nではなくMakeを選ぶ理由は?
コストです。Zapierは同じ処理でも料金が数倍になりがちで、n8nはサーバー管理の知識が要ります。無料枠があってコードも不要、というバランスで見ると、副業の入り口としてはMakeが座りがいいと思います。
まとめ:自動化そのものではなく「浮いた時間の使い道」を先に決める
自動化を副業にするとき、いちばん大事なのは実は技術ではありません。浮いた時間を何に使うかを先に決めておくことです。
週5時間の手作業が消えても、その5時間をぼんやり過ごせば収入は変わらない。逆に「浮いた5時間で記事を2本増やす」「新しい案件に応募する」と決めていれば、自動化は投資になります。自動販売機を置く前に、置いた後の自分の予定を決めておく。それが自動化副業の本当のスタートラインです。
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