Airtableには、もともと自動化機能が付いています。レコードが追加されたらメールを送る、ステータスが変わったらSlackに通知する——その程度のことは、Airtableの中だけで完結します。
ではなぜ、わざわざMake.comと繋ぐ人がいるのか。ここを整理しないまま連携を組むと、Airtableでできることを外側で二重に作ってしまいます。この記事では、まず役割分担の話をしてから、接続手順に入ります。
2つの立ち位置の違い
電話にたとえると分かりやすいです。Airtable内蔵の自動化は内線電話、Makeは外線。
Airtable内蔵の自動化:社内の処理に強い
Airtableの自動化(Automations)は、同じベース(データベース)の中での処理が得意です。レコードの作成・更新をきっかけに、別のフィールドを書き換える、レコードを複製する、条件で分ける。データが自分の建物の中を動く分には、これで十分どころか最短です。
外部連携もいくつか用意されていますが、対応先は限られます。Slack、Gmail、Google Sheetsといった主要サービスに絞られる形。そして無料プランでは実行回数が月100回まで、というのが実質的な天井になります。
Make.com:外の世界とつなぐのに強い
Makeは3,000以上のサービスとつながり、複雑な分岐や繰り返し、AI処理を挟めます。「フォームの回答をAIで分類してAirtableに入れ、担当者ごとに違うチャンネルへ通知し、翌朝スプレッドシートに集計する」といった、複数の建物をまたぐ流れが組める。突き詰めると、Airtableを外の世界と接続するための配線がMakeの役割です。
使い分けの結論
- Airtableの中だけで終わる処理 → Airtableの自動化。速いし追加コストなし
- 外部サービスとやり取りする処理 → Make。対応範囲と柔軟性が違う
- 複雑な分岐やAI処理を挟む → Make
- Airtableの自動化の月100回を超えそう → Makeに逃がす手もある
料金の前提(2026年時点)
Airtable側の料金を押さえておきます。課金は編集権限を持つ人数(エディター)ごとです。
| プラン | 年払い(1人/月) | レコード上限 | Airtableの自動化 |
|---|---|---|---|
| Free | 0ドル | 1,000件/ベース | 月100回 |
| Team | 約20ドル | 50,000件/ベース | 月25,000回 |
| Business | 約45ドル | 125,000件/ベース | 大幅に拡張 |
| Enterprise Scale | 要問い合わせ | 50万件/ベース | カスタム |
月払いにすると2割ほど高くなります(Teamで約24ドル、Businessで約54ドル)。無料プランはエディター5人まで。ベースの数自体は無料でも無制限です。
知っておくと得なのが、閲覧のみの人は全プランで無料・人数無制限という点。データを見るだけの関係者に席代がかからないので、社内共有には思いのほか使いやすい料金設計です。
無料プランでもMake連携はできる
ここが今回いちばん伝えたい部分です。Airtableの無料プランでも、Makeとの連携は問題なく使えます。Airtable内蔵の自動化の月100回制限とは別枠なので、Make側から操作する分にはその回数を消費しません。
つまり「Airtableの自動化が月100回で足りない」という理由だけで有料プランに上げる必要はない、ということです。処理をMake側に移せば、無料のままで回せる余地があります。
連携の比較表
| やりたいこと | Airtableの自動化 | Make.com |
|---|---|---|
| ベース内のフィールド更新 | ◎ 最短 | ○ 可能 |
| Slack・Gmailへの通知 | ○ 標準対応 | ◎ 細かく制御可 |
| マイナーなSaaSとの連携 | × 対応なし | ◎ 3,000以上 |
| AI処理を挟む | △ AI機能は別課金 | ◎ 各社AIと接続 |
| 複雑な分岐・繰り返し | △ 限定的 | ◎ 得意領域 |
| 無料での実行回数 | △ 月100回 | ○ 月1,000クレジット |
| 設定の手軽さ | ◎ 画面内で完結 | △ 別ツールの学習が必要 |
Airtableの気になるところ
連携の話をする前に、Airtable自体の弱点も正直に書いておきます。
最大の壁は無料プランの1,000レコード上限です。上限に達すると新しいレコードを受け付けなくなるため、Makeで自動投入する仕組みを組んでいると、ある日突然エラーで止まります。しかも有料の入り口が月20ドルで、その中間プランがありません。0円から20ドルへの一段飛びが急、というのが正直な感想です。
比較として、Notionは月10ドル前後でレコード数の制限なし。データベースとして使う目的だけなら、Airtableのほうが割高になる場面はあります。ここは選定段階で意識しておいたほうがいい部分です。
接続の手順
ステップ1:Airtableでアクセストークンを発行する
Airtableのアカウント設定から「Personal access token(個人用アクセストークン)」を新規作成します。設定する項目は3つ。
- 名前:「Make」など分かるもの
- スコープ(権限):レコードの読み書きに必要な権限を選ぶ。データを作成・更新するなら書き込み権限が必須
- アクセス範囲:どのベースに対して有効にするかを指定する
ここで対象のベースを選び忘れると、Makeから接続はできるのにベースが一覧に出てこない、という詰まり方をします。Notion連携と同じパターンで、権限の渡し忘れが原因です。
発行されたトークンは一度しか表示されません。閉じる前にコピーしてください。
ステップ2:MakeでAirtableの接続を作る
- Makeのシナリオ画面でAirtableモジュール(Create a Record など)を追加
- Connection欄の「Add」を押す
- ステップ1のトークンを貼り付けて保存
保存できればベースとテーブルの一覧が選べるようになります。出てこない場合はステップ1のアクセス範囲を見直してください。
ステップ3:テーブルとフィールドを指定する
Base(データベース)→ Table(表)→ フィールドの順に選び、他のモジュールから受け取ったデータをマッピングします。ここは他の連携と同じ流れです。
よく使う実例3つ
実例1:フォームの回答をAirtableに集約
- Google Formsやフォームツールから新規回答を受け取る
- AIモジュールで内容を分類する(問い合わせ種別を判定させるなど)
- Airtableにレコードを作成し、分類結果もフィールドに入れる
- 種別に応じて担当者にSlack通知(ルーターで分岐)
AIによる分類を挟めるのが、Airtable内蔵の自動化では作りにくい部分です。
実例2:Airtableをきっかけに外部を動かす
- Airtableモジュール(Watch Records)で、指定ビューへの新規レコードを監視
- 条件をフィルターで絞る
- 請求書を作成する、メールを送る、カレンダーに登録するなど外部処理を実行
「ステータスが承認済みになったら動く」といった条件をAirtable側のビューで作っておくと、Make側の設定がシンプルになります。ビューをフィルター代わりに使うのがコツです。
実例3:スプレッドシートから一括移行
- Google Sheetsから行をまとめて取得
- Airtableにレコードを一括作成
この用途では、無料プランの1,000レコード上限に注意してください。件数が多い場合は事前に確認を。
つまずきやすいポイント
フィールドの型が合わずエラーになる
Airtableのフィールドには型があります(単一選択、複数選択、日付、リンクなど)。単一選択フィールドに、選択肢として存在しない値を渡すとエラーになります。日付も形式を揃えないと弾かれる。Make側の関数で整えてから渡すのが基本です。
リンクフィールドはレコードIDで指定する
他のテーブルを参照するリンクフィールドは、名前ではなくレコードIDを渡す必要があります。「会社名:株式会社◯◯」と文字で送っても紐づきません。事前に検索モジュールでIDを取得する手順を挟むのが定番です。
レコード上限で突然止まる
先述の通りですが、これは事故として起きます。エラーの原因が分からず設定を疑い続けて、実はレコード数が上限だった——というパターン。定期的に投入する仕組みを組むなら、件数の監視も一緒に設計しておくと安心です。
APIキー方式は使えない
古い解説記事には「APIキーを取得して」と書かれているものがありますが、現在はPersonal access token方式に変わっています。設定画面でAPIキーの項目を探しても見つからないので、トークンのほうを探してください。
よくある質問
Airtableの自動化とMake、両方使っても大丈夫ですか?
問題ありません。むしろ推奨される形です。ベース内の処理はAirtable、外部連携はMakeと分けておくと、どちらの設定を見ればいいか迷いません。ただし同じ処理を両方に組むと二重実行になるので、担当範囲は明確に分けてください。
MakeのどのプランがあればAirtable連携できますか?
無料プランで可能です。月1,000クレジットの範囲なら、1日数十件の処理は収まります。Airtable側も無料プランで連携できるので、両方0円から検証を始められます。
レコードが増えてきたらどうすればいいですか?
選択肢は3つ。ベースを分ける(1,000件は「ベースごと」の上限なので)、古いレコードを別の場所に退避させる、Team(月20ドル)に上げる。ベースを分ける方法は無料のまま粘れますが、データが分散して検索しにくくなるトレードオフがあります。
NotionとAirtable、Makeと組むならどちらが良いですか?
用途によります。表計算的な使い方(顧客管理、在庫、案件リスト)ならAirtable、文書と一緒に管理したいならNotion。連携のしやすさはどちらも大差ありません。無料で粘りたいならNotionのほうがレコード制限がなく有利です。
まとめ:境界線を1本引いてから組む
Make×Airtableで失敗する原因は、技術ではなく設計です。Airtableの中でやることと、外でやることの境界線をどこに引くか。ここを決めずに組み始めると、同じ処理が2箇所に存在して、後から手を入れるときに混乱します。
おすすめの引き方はシンプルです。データがAirtableの外に出るなら、その処理はMake。出ないならAirtable。この1本の線があるだけで、半年後の自分が設定を追える仕組みになります。
まずは無料プランで、フォーム回答をAirtableに入れるシナリオを1本。それだけで、境界線の意味が体で分かるはずです。
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