この2つを並べて比較する記事、正直ちょっと違和感がある
Make.comとIFTTT。ノーコード自動化ツールの2大巨頭として並べて紹介されることが多いですが、白状すると、実際に両方触ると「これ、同じジャンルなのか?」という気持ちになります。
IFTTTは今、明確にスマート家電・IoT・個人利用の方向に舵を切っている。MakeはSaaS横断の業務自動化。用途がここまで違うと、比較というより住み分けの話になります。この記事は、その住み分けを整理して「あなたはどっちの住人か」を決められるようにする内容です。
判断軸:3つの質問で決まる
| 質問 | Yesならこっち |
|---|---|
| Alexa・Google Home・スマート照明を持っていて、家電を条件で動かしたい | IFTTT |
| Gmail・Slack・Notion・スプレッドシートを横断して業務を回したい | Make |
| 「もしAなら、BもCもDもする」のような分岐や複数処理が必要 | Make |
3つ目に該当した時点で、実際のところIFTTTの守備範囲を超えます。IFTTTは「もしAならB」というシンプルな1対1の自動化(Applet)に特化した設計で、複雑な分岐や大量のオペレーションはそもそも想定されていません。
立ち位置の違い:スマート家電のリモコン vs 業務のワークベンチ
IFTTT=スマート家電と個人の生活を結ぶリモコン
IFTTTは2011年に「If This Then That」の名の通り、「もしこれが起きたら、あれをする」という単純な自動化(Applet)を作れるサービスとして生まれました。2026年時点でも思想はほぼ同じ。ただ舵の切り方が変わっていて、スマート家電・IoTデバイス・SNSの個人利用に軸足を寄せています。Nest、Ecobee、Philips Hue、Ring……こういうデバイス連携が特に強い。
2024年以降はMatter/Thread対応も進み、Alexa・Google Home間の橋渡し役としての価値も上がっています。
Make.com=業務のためのビジュアルワークベンチ
Makeは、ビジネス・業務用途に振り切った自動化プラットフォーム。1,500以上のSaaS(Gmail、Slack、Notion、Salesforce、ChatGPTなど)をキャンバス上でつないで、複雑なシナリオを組めます。私はこのブログの記事生成をMakeで組んで運用していましたが、AI処理を挟んだ多段階の自動化はMakeの独壇場です。
料金比較:数字だけ見るとIFTTTが安いが、罠がある
| 項目 | Make.com | IFTTT |
|---|---|---|
| 無料プラン | 月1,000オペレーション・シナリオ2個 | Applet 2個まで |
| 最安有料 | Core:月$9(約1,350円) | Pro:月$2.99〜$3.49(約450〜520円) |
| 上位有料 | Pro:月$16、Teams:月$29 | Pro+:月$8.99〜$14.99 |
| 連携アプリ数 | 1,500以上 | 800以上 |
| 複数アクション | 無料から可 | Pro以上のみ |
| 条件分岐(フィルター) | 無料から可 | Pro+のみ |
IFTTTの最安$2.99は確かに安い。ただ、IFTTT無料プランは自作Applet2個までと、実質「試用版」レベル。有料プランでも1つのApplet=1トリガー+アクションのシンプル構造は変わらず、複雑な業務フローには向いていません。実際のところ、月$8.99〜$14.99のPro+まで行くと、Makeとほぼ同じ価格帯で機能は限定的、というポジションになります。
Makeの無料プランは1,000オペレーション・シナリオ2個。単純比較の「シナリオ数」は同じですが、Makeは1シナリオで複数モジュールを直列・分岐で組めるので、実効的にできることの幅が桁違いです。
※料金は2026年7月時点の情報です。プラン改定が頻繁なので、最新は各公式サイトで確認してください。
項目別比較
| 比較項目 | Make.com | IFTTT |
|---|---|---|
| 1シナリオの複雑さ | ◎ 多段階・分岐・ループ可 | △ トリガー1+アクション複数のみ |
| スマート家電・IoT対応 | △ 一部のみ | ◎ Matter/Thread対応 |
| SaaS業務連携の広さ | ◎ | ○ |
| 操作画面 | キャンバス型(視覚的) | フォーム型(選ぶだけ) |
| 学習コスト | やや高い | 低い |
| 日本語UI | なし(英語のみ) | なし(英語のみ) |
| AI連携 | ◎ ChatGPT/Claude/Gemini公式モジュール | ○ AI Applet Maker搭載 |
IFTTTの強みと気になるところ
強みは、圧倒的なとっつきやすさとスマート家電エコシステムの厚みです。「フォームに沿って選ぶだけ」でAppletが完成する体験は、Makeのキャンバスに慣れる労力を圧縮できます。「Instagramに投稿したらTwitterにも自動投稿」のようなSNS個人利用も、IFTTTなら3分で作れます。
気になるところは、Applet1個の構造が単純すぎること。1つのトリガーに対して1つの流れしか作れず、「条件によって処理を変える」ような分岐は上位プラン(Pro+)でJavaScriptを書く必要があります。無料の自作Applet枠が2個というのも、実用的にはかなり厳しい。
Makeの強みと気になるところ
強みは、複雑なワークフローを視覚的に組める表現力です。ルーター(分岐)、フィルター(条件)、イテレーター(繰り返し)、AI連携。業務で「1つのイベントから複数の処理を条件付きで走らせたい」というニーズには、Makeがほぼ唯一の答えになります。
気になるところは、初見の学習コスト。キャンバスにモジュールを並べて、データマッピングを設定して……という工程は、IFTTTの「選ぶだけ」に比べると腰が重い。あとスマート家電系のコネクタはIFTTTほど揃っていません。
タイプ別:あなたに向くのはどっち
スマートホームを組みたい個人 → IFTTT
「玄関のドアが開いたら照明を点ける」「雨が降ったらエアコンを弱にする」のようなIoT自動化はIFTTTの得意分野。月$2.99〜のProで実用範囲に入ります。
SNSの単純自動化がしたい個人 → IFTTT無料枠でも足りるかも
Instagram→Twitter転送のような1対1の連携が2〜3個で済むなら、IFTTT無料プランでもギリギリ回ります。ただ「もう1個作りたい」と思った瞬間に有料の壁が来る。
副業・個人事業でSaaSを横断したい → Make
Gmail・Slack・Notion・スプレッドシート・AI。「Webサービスを組み合わせて仕事を減らす」のがゴールなら、Make一択。無料プランでも実用的な自動化が組めます。
複雑な条件分岐や複数処理が必要 → Make
「Aが起きたときにBを実行、ただしCという条件のときだけDに切り替える」のような業務フローは、IFTTTの構造では組めません。ここはMakeの領土です。
両方使う → 普通にあり
スマート家電系はIFTTT、業務系はMake、という併用は成立します。どちらも無料で始められるので、目的別に使い分けるのが実用的です。
よくある質問
IFTTTの無料プランで十分使える?
自作Applet2個までなので、実用的にはかなり厳しい。試用版に近い感覚で、本格利用ならPro($2.99〜)への課金がほぼ前提になります。
MakeとZapier、IFTTTの3つでは?
ざっくり、Zapierは「業務向けで一番シンプル・ただし高い」、Makeは「業務向けで安くて表現力が高い・少し学習コスト」、IFTTTは「個人・IoT向けで圧倒的に安く簡単・ただし複雑なことは無理」。土俵が微妙にズレた三つ巴です。
IFTTTからMakeに乗り換える人は多い?
「条件分岐が必要になった」「複数のアクションを並列で走らせたい」段階でMakeへの移行を検討する人が多い印象です。逆の流れ(MakeからIFTTT)はほぼ聞かないので、機能の広さで言えばMake→IFTTTは下位互換に近い関係です。
Make.comを試してみたい方は、無料プランから始められます。
まとめ
Make.com vs IFTTTは、優劣というより住み分けの話。スマート家電と個人のSNSならIFTTT、業務のSaaS横断ならMake。両方使う手もあるので、無理に一択にしなくていい。判断に迷うなら、直近1ヶ月で「自動化したい」と思った作業を1つ書き出して、それがWi-Fi電球を含むならIFTTT、含まないならMakeを開く。それだけで、たぶん8割方外しません。


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