「編集を楽にしたい」のか「素材をAIで作りたい」のか。ここが分かれ目
動画編集のAIツールを調べると、CapCut、Filmora、Runway、Vrew……と名前がどんどん出てきて、何がどう違うのかわからなくなる。これは「動画編集のAI」と「動画生成のAI」が同じ棚に並んでいるのが原因です。
この2つは目的がまったく違います。字幕を自動で付ける、ノイズを消す、不要なシーンをカットする——これは「編集のAI」。一方、テキストや画像から映像そのものを作り出す——これは「生成のAI」。自分が必要なのはどちらか。この判断が、ツール選びの最初の分岐点になります。
判断軸:5つの目的で選ぶツールが変わる
| やりたいこと | おすすめツール | 料金目安 |
|---|---|---|
| SNSショート動画をスマホで量産したい | CapCut | 無料〜月約990円 |
| YouTubeやプレゼン動画をPCでしっかり編集したい | Filmora | 買い切り約9,980円 |
| プロ級のカラー補正・本格編集を無料でやりたい | DaVinci Resolve | 無料(Studio版は約47,980円) |
| 字幕だけ自動で付けたい | Vrew | 基本無料 |
| AIで映像素材そのものを生成したい | Runway | 月$12〜 |
全部に手を出す必要はありません。私としては、まず「一番時間がかかっている作業」を1つ選んで、そこに合うツールだけ入れるのが失敗しにくいと思います。
5つのAI動画ツール:立ち位置と弱点
1. CapCut(無料〜月約990円)──SNSショート動画の王道
TikTokを運営するByteDanceが開発した動画編集アプリ。スマホでもPCでも使えて、AI字幕生成・背景削除・自動カットなど、SNS向けの機能が無料でも思いのほか充実しています。テンプレートが豊富で、選んで差し替えるだけで「それっぽい」ショート動画が完成する手軽さが最大の強み。
気になるのは、2025年以降の値上げと利用規約の変更。無料版だとPro素材に透かしが入るケースがあり、商用利用にはPro版(月額990円〜)への加入が必要です。また、ByteDanceの利用規約ではアップロードしたコンテンツに対する広範な権利が主張されている点も、ビジネス利用なら気に留めておくべきところ。
2. Filmora(買い切り約9,980円)──「CapCutでは物足りない」人向け
Wondershare社のPC向け動画編集ソフト。AI字幕、AIノイズ除去、AIオブジェクト削除(最長1分)など、編集補助のAI機能が揃っています。買い切りでこの機能が手に入るコスパの良さが魅力。YouTube動画を定期的に作る中級者には一番バランスが取れた選択肢です。
弱点は、AI機能の多くが「クレジット制」で別課金になっている点。買い切りライセンスだけでは自動字幕やAI音声変換が使い放題にはならない。さらにテンプレートやエフェクトの一部はFilmstock(月約1,999円)という別サブスクが必要。「買い切り=全部無料で使える」と思うと裏切られます。
3. DaVinci Resolve(無料 / Studio版 約47,980円)──プロが使う本格ツールが0円
Blackmagic Design社が開発した映像編集ソフト。ハリウッド映画の色調整にも使われているツールの基本機能が無料で使えるという、正直ちょっとおかしい存在。カラーグレーディング(色調補正)の精度は全ツール中トップ。AIによるノイズ除去やオブジェクト追跡も搭載されています。
気になるのは学習コスト。機能が多すぎて、初心者が最初に触ると画面の情報量に圧倒されます。「動画編集を職業にするつもりがあるなら投資する価値あり、趣味で週1回編集するくらいならCapCutかFilmoraの方が幸せになれる」くらいの位置づけです。
4. Vrew(基本無料)──字幕だけ自動化したい人の最適解
韓国のVoyager X社が開発した、テキストベースの動画編集ツール。動画をアップロードすると音声を自動で文字起こしし、その文字を編集することで動画のカット・修正ができる。日本語の認識精度が高く、「字幕を手打ちする時間を削りたい」という一点だけなら、思いのほか最強の選択肢です。
弱点は、カラー補正やエフェクトなどの「映像を仕上げる」機能は最小限であること。Vrewで字幕を付けて、仕上げは別のツールで——という併用前提のツールです。
5. Runway(月〜)──AIで映像を「作る」側のツール
ここまでの4つとは性格が違います。Runwayは既存の動画を編集するツールではなく、テキストや画像から映像そのものを生成するAIツール。最新モデルのGen-4.5は映画品質に近い映像を数十秒で生成できます。Standardプラン(月$12)で月625クレジット、Gen-4.5なら約52秒分の動画を生成可能。
なお、かつてこの領域ではOpenAIの「Sora」が話題でしたが、2026年3月にサービスを終了しています。現時点での動画生成AIの主力はRunway、Google Veo、Seedanceの3つ。
気になるのはコスト。クレジット制なので、試行錯誤するほどクレジットが減る。「いい映像が出るまでガチャを回す」感覚があり、月$12では足りなくなるケースが多い。本格的に使うならProプラン(月$28)以上が現実的です。
料金まとめ
| ツール | 無料プラン | 有料プラン | 課金形態 |
|---|---|---|---|
| CapCut | あり(一部透かし) | Pro:月約990円〜 | サブスク |
| Filmora | あり(透かしあり) | 買い切り約9,980円(AI機能は別途クレジット制) | 買い切り+従量課金 |
| DaVinci Resolve | あり(高機能) | Studio:約47,980円 | 買い切り |
| Vrew | あり | 有料プランあり(月額制) | サブスク |
| Runway | 初回125クレジットのみ | Standard:月$12 / Pro:月$28 | サブスク+クレジット制 |
※料金は2026年6月時点の情報です。為替変動やプラン改定の可能性があるため、公開前に各公式サイトで確認してください。
タイプ別:あなたに合うツールは
TikTok・Reels・ショート動画を作りたい
CapCut一択。スマホで完結し、テンプレートで量産できる。字幕もワンタップ。商用利用するならPro版に課金する前提で。
YouTubeを定期更新したい
Filmora(買い切り)が最もコスパが良い。CapCutでは物足りないが、Premiere Proは重すぎるという層にちょうどいい。AI字幕はVrewとの併用がおすすめ。
映像制作を仕事にしたい
DaVinci Resolveの無料版から始めて、必要ならStudio版に移行。カラーグレーディングのスキルは他のツールでは身につかない。
とにかく字幕だけ自動化したい
Vrew。日本語の文字起こし精度が高く、操作もシンプル。他の編集ソフトと組み合わせて使うのが自然な形です。
動画素材をAIで生成したい
Runway。ただし「編集」と「生成」は別物なので、RunwayだけでYouTube動画は作れない。Runwayで素材を生成 → CapCutやFilmoraで編集、という組み合わせが現実的。
よくある質問
完全無料でおすすめのAI動画編集ツールは?
DaVinci Resolve(無料版)が最も高機能。ただし初心者にはハードルが高いので、まずCapCut(無料版)で慣れてからDaVinciに移行するのが段階的でいいと思います。
AI動画編集ツールで動画が「全自動」で作れる?
2026年時点では「半自動」が実態です。字幕生成やノイズ除去は自動化できますが、構成の組み立てや演出の判断は人間の仕事。AIは「手間を減らすアシスタント」であって、ディレクターの代わりにはまだならない。
Soraはどうなった?
OpenAIのSoraは2026年3月にサービスを終了しました。ランニングコストに対して収益が見合わなかったのが理由とされています。Soraを使っていたユーザーの多くはRunwayかGoogle Veoに移行している状況です。
記事制作の自動化に使ってきたのがMake.comです。試してみたい方はこちら→
まとめ
AI動画ツール選びで一番大事なのは「自分がどの作業に時間を使っているか」を見極めること。字幕に時間がかかるならVrew、SNS動画を量産したいならCapCut、YouTubeを本格的にやるならFilmora、映像の色にこだわるならDaVinci、素材そのものを作りたいならRunway。全部入りのツールはまだ存在しないので、1つ選んで、足りなくなったら足す。それが2026年時点での一番現実的な始め方です。


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