通常のチャットは、総合窓口のようなものです。毎回ゼロから事情を説明して、対応してもらって、次に行くとまた最初から。
プロジェクト機能を使うと、これが専属担当に変わります。前提を知っている相手と話す状態になる。同じ説明を繰り返さなくていい。
ただ、ここが分かれ目です。プロジェクトを作っただけでは、専属担当にはなりません。フォルダを作って会話を放り込んだだけの状態だと、通常のチャットとほぼ変わらない。
何を設定すれば意味が出るのか、そこから整理します。
プロジェクト機能とは何か
チャット・ファイル・カスタム指示を1つのまとまりとして管理できる仕組みです。2024年に上位プラン向けに登場し、2025年9月から無料プランを含む全ユーザーが使えるようになりました。
ブラウザ版、デスクトップアプリ、スマホアプリのいずれからも操作できます。スマホからファイルをアップロードすることも可能です。
3つの構成要素
| 要素 | 役割 | 設定しないと |
|---|---|---|
| チャット | 会話をまとめる | — |
| ファイル | 参照資料を置く | 毎回添付が必要 |
| カスタム指示 | 前提とルールを固定 | 毎回説明が必要 |
言ってしまえば、真ん中と下の2つが本体です。チャットをまとめるだけならブラウザのブックマークでもできる。
作り方
- サイドバーの「プロジェクト」または「+ 新しいプロジェクト」をクリック
- プロジェクト名を入力する
- カスタム指示を書く
- 参照させたいファイルをアップロードする
- そのプロジェクトの中から新しいチャットを開始する
手順自体は数クリックです。5番目が重要で、プロジェクトの外でチャットを始めると、設定した内容は反映されません。
カスタム指示に何を書くか
ここが効果を左右します。書くべきなのは、毎回説明していることです。
例として、ブログ記事を書くプロジェクトなら。
私は個人でブログを運営しています。読者は初心者から中級者です。
回答は日本語で、断定を避けた表現を使ってください。
専門用語には簡単な説明を添えてください。
提案するときは、必ず弱点も1つ挙げてください。
1回書いておけば、そのプロジェクト内の全チャットに適用されます。会話のたびに「初心者向けに」と付け足す作業が消える。
プロジェクトごとに分ける
カスタム指示はプロジェクト単位で独立しています。仕事用と趣味用で口調を変える、といった使い分けが可能です。
好みの話をすると、私はここを細かく書きすぎないほうがいいと思っています。指示が長くなるほど、AIがどれを優先するか読みにくくなる。5行程度に収めて、足りない分はその都度伝えるくらいがちょうどいい。
ファイルの扱い
PDF、スプレッドシート、ドキュメント、画像などをアップロードできます。プロジェクト内のチャットは、これらを参照して回答します。
使いどころとしては、こういうものです。
- 社内の用語集や表記ルール
- 過去に作った資料のサンプル
- 製品の仕様書
- 参考にしたい文章の見本
アップロードの制限
フォルダを丸ごとドラッグする方式は用意されていません。ファイル単位での選択になります。
ただし一度に最大10ファイルまで同時に選べるので、フォルダを開いてまとめて選択すれば、実質的には近い操作ができます。
10を超える場合は、内容ごとにプロジェクトを分けるか、複数のファイルを1つにまとめてから読み込ませるのが現実的です。
運用してから気づく制限
ここから先は、使い始めてしばらくすると当たる壁です。
並び替えができない
サイドバーのプロジェクト一覧は、更新日時の順に並びます。任意の順番に手動で並び替える機能はありません。
よく使うものを上に置きたい場合は、名前の先頭に「01_」「A_」といった接頭辞を付けるのが実用的な回避策です。地味な工夫ですが、プロジェクトが10個を超えたあたりから効いてきます。
削除すると戻せない
プロジェクトを削除すると、中のチャット、ファイル、カスタム指示がすべて消えます。復元はできません。
不要なものを確実に消せるのは利点でもありますが、重要な内容があるなら削除前にバックアップを取ってください。
プランによって上限が違う
プロジェクト機能自体は無料でも使えますが、扱えるファイルの量や会話の長さには差があります。長期のプロジェクトで大量の資料を参照させたいなら、有料プランのほうが安定します。
どこまでが無料で足りるかは使い方次第なので、まず無料で始めて、詰まったら考えるという順番でいいと思います。
機密情報の扱い
プロジェクトが外部に公開されることはありませんが、アップロードした内容はOpenAIのサーバーで処理されます。
個人向けプランは初期設定で入力内容が学習に使われる扱いです。設定画面のデータコントロールから切れますが、それでも送信自体は止まりません。業務上の秘密や個人情報を含むファイルは、置く前に一度立ち止まってください。
向いている使い方、向かない使い方
| 用途 | 向き | 理由 |
|---|---|---|
| 継続する仕事 | 向く | 前提を固定できる |
| 特定の資料を何度も参照 | 向く | 毎回の添付が不要 |
| 語学学習 | 向く | レベルと目標を固定できる |
| 単発の質問 | 向かない | 作る手間のほうが大きい |
| 毎回違うテーマの相談 | 向かない | 指示が邪魔になる |
境目は「同じ前提で何度も話すか」です。3回以上同じ説明をしているなら、プロジェクトにする価値がある。
気になるところ
便利な機能ですが、弱いと感じる点も書いておきます。
まず、プロジェクトが増えると管理そのものが手間になる。整理のための機能を作りすぎて整理が必要になる、という本末転倒が起きます。並び替えができないことも、これに拍車をかけています。
次に、カスタム指示が必ず守られるとは限らないこと。長い会話の中では、設定した内容が薄れていく場面があります。重要な条件は、会話の中で改めて伝えたほうが確実です。
それと、他のツールとの連携が弱い。プロジェクト内で作った成果物を外に出すには、結局コピーするか書き出すことになります。ここは今後の改善に期待したいところです。
よくある質問
無料プランでも使えますか
2025年9月から全プランで利用できます。基本機能に制限はありませんが、ファイル量や会話の長さの上限には差があります。
スマホからでも使えますか
使えます。ファイルのアップロードやモデルの選択も、アプリから操作できます。
既存のチャットをプロジェクトに移せますか
チャット一覧から対象を選んで移動させることができます。散らかった履歴を後から整理する使い方も可能です。
カスタムGPTとどう違いますか
カスタムGPTは他人に共有できる形で作る機能で、作成には有料プランが必要です。プロジェクトは自分専用の作業空間。共有の予定がないなら、プロジェクトのほうが手軽です。
複数人で共有できますか
個人向けプランでは、プロジェクトの共有はできません。チームで使いたい場合は法人プランの検討になります。
まとめ
プロジェクト機能は、チャットを整理するための機能ではありません。同じ説明を繰り返さないための機能です。
だから、カスタム指示を書かずに使っていると、ほとんど恩恵がない。フォルダとして使うだけなら、作らなくても困りません。
作るかどうかの基準を1つ渡すとすれば、直近の会話で、同じ前提を3回以上説明したかです。1回きりの相談なら通常のチャットで十分。何度も同じ説明をしている自覚があるなら、その説明文をそのままカスタム指示に貼るところから始められます。答えは機能説明ではなく、あなたが今週打ち込んだ同じ文章の中にあります。
記事制作の自動化に使ってきたのがMake.comです。試してみたい方はこちら→ Make.com(※アフィリエイトリンクです)


コメント